連載企画
相続税豆知識

第4回 相続の放棄(1)

 こんにちは、岸本です。
 今回は前回に少し登場しました「放棄」についてのお話です。今回と次回で「相続の放棄」についてお伝えしようと思います。
「相続の放棄」を行うと亡くなった方のプラスの財産(預貯金、土地など)とマイナスの財産(借金など)の権利義務を一切受け継がないことになります。「相続の放棄」を行うためには亡くなったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを行う必要があります。
なお、亡くなった方の債務がどれくらいあるか分からない時はプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を承継する限定承認という制度もあります。限定承認も同様に3ヶ月以内に家庭裁判所にて手続きが必要です。
話が逸れましたが、続きです。相続税の世界では相続を放棄した人に適用のない制度があります。それを紹介していきましょう。
1. 生命保険金・死亡退職金の非課税適用がない
生命保険金・死亡退職金は受け取った全額が相続財産になるわけではありません。前回登場しました法定相続人の数×500万円までは非課税として相続財産から除かれます。ただし、相続を放棄した人にはこの非課税の適用がありません。
2. 債務控除の適用がない
相続税の計算上、相続人が負担する債務の金額は相続財産から控除できます。が、@と同様に相続を放棄した人にはこの適用はありません。(葬式費用は相続を放棄した人でも相続財産から控除できます)
3. 相次相続控除の適用がない
亡くなった方が10年以内に相続で財産を取得し、相続税を納めていた場合にその亡くなった方から財産を取得した人は一定の税額を軽減する制度があります。これを相次相続控除といいますが、相続を放棄した人にはこの制度は適用できません。
4. 代襲相続の孫でも相続税の加算適用
亡くなった方の配偶者、親、子、代襲相続した孫以外の人は計算した相続税が2割増しになるという規定があります。相続を放棄した場合、代襲相続した孫でも2割増しになります。
若干中途半端ですが今回はここまで、続きは次回に持ち越させていただきます。