連載企画
相続税豆知識

第9回 自社株の納税猶予とは?[贈与税編]

こんにちは、岸本です。
中小企業の事業承継を円滑に行うため相続税法において創設された制度が自社株の納税猶予です。と、いうことで、今回はその納税猶予について【贈与税編】でお伝えします。
 この制度は後継者である受贈者が贈与により先代経営者から株式を取得した場合に贈与税を猶予するという制度です。その猶予額は株式に係る贈与税の全額です。適用を受けるための要件は次のとおりです。

1. 対象会社の要件
  ○経済産業大臣の認定を受けること
  ○次のいずれにも該当しないこと
   上場会社、中小企業者に該当しない会社、風俗営業会社、資産管理会社、総収入金額または従業員数がゼロの会社

2. 後継者の要件
  ○贈与時に会社の代表者であること
  ○贈与者の親族であること(平成27年より廃止)
  ○一定の割合を超える議決権を保有すること
  ○20歳以上であること
  ○継続して3年以上役員に就任していること

3. 先代経営者の要件
  ○会社の代表者であったこと
  ○贈与直前に一定の割合を超える議決権を保有していたこと
  ○贈与時までに役員を退任すること(平成27年より代表権を退任することに変更)

4. 担保提供
  ○納税が猶予される贈与税額および利子税額に見合う担保を提供する必要があります。
  ○特例の適用を受ける株式をすべて担保として提供した場合、他の担保提供は必要ありません。

 なお、申告後も一定の要件を満たさない場合、納税猶予は取り消しとなります。
 以上、相続税豆知識第9回でした。次回は相続税の申告についてお伝えします。