連載企画
相続税豆知識

第10回 相続税の申告手続

 こんにちは、岸本です。
 今回は相続税の申告についてお伝えします。
相続が起こった場合に一定の要件を満たすときは相続税の申告書を提出しなければなりません。この一定の要件とは、遺産の総額が相続税の基礎控除額を超えたときだけでなく、次に該当した場合にも申告書を提出する要件を満たすことになります。
 ○配偶者に対する相続税額の軽減を適用
 ○小規模宅地等、特定計画山林についての特例の適用
 ○国等に対して相続財産を贈与した場合等の非課税の適用
 ○納税猶予の適用
 なお、相続税の申告書の提出期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。この相続の開始があったことを知った日とは、原則的には被相続人が死亡したことを知った日をいいます。原則もあれば例外もあるということで…例外についてはまたの機会にお伝えします。基本的に相続税の申告書の提出期限は上記のとおりですが、災害等が生じた場合にはこの期限が延長されることがあります。
 次に申告書の提出先ですが、被相続人の死亡時の住所が日本国内にあるときは被相続人の住所地の所轄税務署長に提出します。なお、被相続人の死亡時の住所が国外にあるときは申告書の提出義務者が納税地を定めて申告することになります。
 ちなみに相続税の申告は期限までに分割協議が整っていなくても可能です。この場合の注意点は、次の規定が適用できないということです。
 ○配偶者に対する相続税額の軽減
 ○小規模宅地等、特定計画山林についての特例
 ○納税猶予
 これは最初に出てきた要件で非課税を除く項目になります。これらの規定は適用要件が申告期限までに分割が行われていること、になりますので申告期限までに分割協議が整っていなければ適用することができません。ただし、申告期限から3年以内に分割が行われた場合には納税猶予を除き分割時に適用が可能です。この場合には期限内申告を行う時に3年以内の分割見込みの書類を提出することになります。
 次回は相続税の納付についてお伝えします